「アジール・フロッタン」は2018年2月、セーヌ川の増水により水面下に没してしまいました。
誕生から101年目の2020年、10月19日に再びセーヌ川の水面に浮上、奇蹟のように復活しました。
概要
1929年12月にリノベーションが完了したル・コルビュジエ設計の難民避難船「アジール・フロッタン」は、救世軍の依頼により第一次世界大戦の影響でパリ市内に多くいた戦争難民を収容するために生み出されました。その後、世界恐慌や第二時世界大戦による難民を多く受け入れ、子供たちの夏のイベントなどにも活用されてきましたが、1990年ごろにはその使命を終えていました。
2006年には救世軍から船を譲り受けた有志により、後世に残すための修復が始まり、2008年には、修復に協力していた日本人建築家遠藤秀平により修復工事のためのシェルターがデザインされ、フェスティバルドートンヌにおいて発表されました。その後は、経済不況もあり近年まで細々と修復工事が進められ、2015年に歴史的コンクリート構造物として文化財指定を受けました。2017年には内部の整理も進み、日本人建築展を行う企画が進められてきましたが、2018年2月のセーヌ川増水により水面下に消えてしまいました。
アジール・フロッタンを復活させるため多方面にわたる各関係機関と協議を行い、2020年10月19日にようやく浮上させることができました。途上、協議の難航に加え黄色いベスト運動やコロナウイルス蔓延の影響などがあり、2年10ヶ月を要してしまいました。
今後は船体の調査を行い、それに基づきコンクリートなどの補修を行います。この調査はフランス文化局に登録されている文化財建築家により行われます。そして補修工事が終了した後、コルビュジエのオリジナルデザインに復元する工事を行う予定です。
これらの工事が無事完了したのち、コルビュジエが完成予想パースに描いていた通り、セーヌ川の岸から10mほど離れた位置に移動、日本のアロイ社から寄贈された桟橋(現在はパリ近郊で保管)を設置し、公開スタートとなります。
2017(水没前)
ニュース
2021.02.09
2月に入ってセーヌ川が増水しています。気候変動による影響とも言われていますが、増水の頻度が増してきました。過去1910年に最大の増水があり、パリ市内が洪水に見舞われ大きな被害となりました。今年は、2018年以来、3年ぶりに岸辺にまで水が上がっています。下記以外にもフランスの多くのメディアがアジールフロッタンのことを取り上げてくれました。
2021.02.17
アジール・フロッタン復活展in台北
日時:2021/3/6 (土) - 2021/3/28 (日)
日曜日~ 水曜日 10:00 - 19:00
木曜日~ 土曜日 10:00 - 20:00
場所 :田園城市生活風格書店 - B1芸術文化空間
アジール・フロッタンのニュース履歴はこちらからご覧ください。
アジール・フロッタンの修復履歴はこちらからご覧ください。
1930年代
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2017(水没前)
体験する
1995〜2023年までのアジール・フロッタン
1960年頃からはオーステルリッツ駅近くのセーヌ川左岸に係留されてきましたが、2018年2月に水没、2020年10月に浮上しました。今後躯体の修復を行い、コルビュジエのオリジナルデザインへの復元工事が終了すれば、セーヌ川の岸から10m離し公開スタートとなります。